三島由紀夫の一番の謎は、要するに彼の天皇とは何か、だ。平野啓一郎氏の三島由紀夫論はその点について、実に示唆に富む論理を提供してくれている。
その他、いろいろ講義の助けにもなり、ありがたい。
2023-10-31 20:10
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『ヘルマン』の創造に際してヘッセの発見は私の中であたかも地殻変動の如き驚愕を及ぼしたが、(大げさ)この後期、日芸の講義作家研究において、三島由紀夫を取り上げたことによって、三島由紀夫ブームが湧き起こっている。
1970年割腹時の小学校五年の折が第一次ブーム,中学生時の読書体験が第二次、1989年初めて『近代能楽集』を演出し、それからも幾度か中の数篇に取り組んだ時期を第三次として、今現在第四の集中時を迎えている。
中心は戯曲だが、『豊饒の海』という小説の恐ろしさを再認識している。たおやかな凄み。
2023-10-22 10:47
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『万延元年のフットボール』までは読んだという方に語る資格があるのだろうか。
『静かな生活』以後の作品群が重要なのだ。
いまさら『死者の奢り』あたりを引用されて語られるレベルでは、気の毒を超えて犯罪的ですらある。
2023-03-16 18:18
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九月、脳梗塞で倒れた飲み友達を見舞ったり、八月は久しぶりの風花でかつて付き合いのあった同世代の近況などを耳にしたせいなのだろうか、酷暑、台風、気圧の高低による身体への負担もあるのだろうか、九月は精神が不安定であった。
自分は、還暦といっても何も環境の変化はないが、同世代の勤め人たちの店仕舞いの準備を目の当たりにすると、なんとはなしに憂鬱になる。
飲み友達の見舞いに同行した川西蘭氏から、その際、水島美苗の小説は面白いと教えられ、そうだ、『續明暗』を買ったままだ、しかしそれにはまず『明暗』を読破しなければと読み始めたところ、あっという間にはまってしまって、そのまま『行人』、『道草』と読了した。
恐るべしは夏目漱石。還暦を過ぎてやっと理解できるところ多し。
漱石執筆時の40代で読んでもいまいち理解はしていなかっただろう。
明治時代の男40代が今の60代の精神年齢なのかもしれない。
或いは、私がいつまでももクソガキだったということか。
しかし、漱石の小説は私を精神不安にさせる。
2022-10-06 11:24
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没後50年で、テレビ、雑誌などが三島由紀夫特集を組んでるが、どれもこれもつまらん。言われ尽くしたことの繰り返し。つまらん!
2020-12-08 18:28
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これまで、これほど吉祥寺に関わりながら、埴谷雄高のことを失念していた。
吉祥寺と言えば楳図かずおと埴谷雄高だ。
昨夜不意に思い出し、調べると元住居は末広通りの近く、吉祥寺シアターにも近い。
今はなき鰻屋ます田にしばしば通い、ロンロンの前でよく上半身裸になっていたという挿話を目にした。
吉祥寺の変人巨匠である。吉祥寺とはこうした人が住んだ町だったのである。今も楳図氏が徘徊する街である。
『死霊』を久しぶりに読み返してみよう。
2019-07-07 20:46
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早稲田文学の最新号、金井美恵子特集は素晴らしい。大手文芸誌では出来ない技だ。
2018-04-21 23:06
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ひさしぶりに小説について書く。
カズオ・イシグロの『日の名残り』を読んで、面白いので驚いた。これまで氏の作品は一度も手に取ったことがなく、ご多分にもれず、ノーベル賞のニュースで、さして期待もせずに読み出したのだが、その面白さに途中で止めることができずに一気に読んでしまった。
正統的、本格的な英国小説である。
などとエラソーに書いてみるが、20代30代の頃は英国、ロンドン系統には一切興味がなかった。イギリス映画にのりきれないものを感じ、演劇と言えば、退屈な保守だろうと決めてかかっていた。
気取って紅茶すすってんじゃねえよ。
だから、私にとっては英語圏と言えば、圧倒的にポップにして実験的なニューヨークだったわけだ。
日本生まれの英国作家カズオ・イシグロの小説など、ジェームス・アイボリーのつまらない映画みたいなものだろうと高をくくっていたわけだ。
英国及びロンドンがいいと思い始めたのは50代に入ってからで、去年のロンドン滞在は短期間とはいえ、実に楽しかった。
保守とは、動こう変えようとしない退屈を意味するものではないと理解してきたからだ。
するとティータイムの深さ、パブの楽しさがぐんと近くなった。
今回、『日の名残り』が英国貴族の執事の話というところも、読んでみようと思った動機である。
『ダウントン・アビー』である。読んでいる最中もこのドラマの場面場面がかなりの読書の補助線となった。
また、老人の執事が主人公のこの小説の面白さは中年か初老でなければ理解できないかも知れない、とも言える。
小説でしか味わえない妙味というものに堪能した。
アンソニー・ホプキンスの主演で映画にもなっているが、見る気はしない。どうせ無用にドラマティックに脚色されているのだろう。そういうのは見たくない。そういうのは『ダウントン・アビー』で見られるからけっこうだ。
続けて『わたしを離さないで』を読んだ。これも、舞台化、映像化されたものなど見たくもない。妙味は失せ、お涙頂戴青春モノになってんじゃないかと推測する。カズオ・イシグロの持ち味は抑制の妙味だから、ドラマにするとその味は薄れるか消えるに違いない。
そういうわけでさらに『夜想曲集』を読んだ。
なんとわかりやすい面白さに満ちた短編集だろう。抑えられつつもあふれわたるコメディ・センスにミスター・ビーンを思い起こした。ジェントル・スラプスティックとでも名付けたい。
さて、『忘れられた巨人』にとりかかろう。
2018-02-03 14:13
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エンタクシーの編集長田中さんが、観劇にきて、次号で休刊と聞いて大ショック!
次号掲載は『猫雪』の後篇。
で、もう一章書いて完結の予定だったんだが。
どうしよう。
今年、推薦されて文芸家協会に入会したのだが、毎月送られてくる冊子には、出版不況、文学衰退といった話題が必ずあり、目を通してると元気が出なくなること夥しい。
さあて明日からまた頑張るぞえ。
2015-10-27 21:47
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今週発売されますen-taxiに『猫旅またたび 其の二・猫生』が掲載されます。
よろしくお願いいたします。
2015-04-22 20:14
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