先々週のことになるが、ひさしぶりに上野へ赴き、国立博物館に足を踏み入れた。「東寺・空海と仏像曼荼羅」を見るためだった。
東寺の立体曼荼羅は実はすでに現実の京都・東寺で目の当たりにしているのだが、その日は清水寺から東寺へというコースを計画して出かけたものの、猛暑の日で清水寺ですでに事切れ、青息吐息で東寺にたどり着き、立体曼荼羅の世界に沈むどころではなくなってしまった。暑さに沈んだのである。
で、不意に見ようと上野へ出かけたのだが、人気らしくチケット売り場が長蛇の列で、立体曼荼羅の館に入場は50分待ちとアナウンスされてるので、いったん諦めかけたが、もうひとつの特別展「美を紡ぐ」を見ていれば、待ち時間も短くなるであろうとチケットを買い求めた。チケット自体は長蛇にも関わらずスムーズに購入できた。
で、「美を紡ぐ」が大当たりであった。雪舟、永徳、光琳、北斎といった日本絵画の巨匠たちの作品が展示されているのだが、大げさに言うと日本美術を開眼させられた。こんなにいいものはと改めて認識した。
長沢芦雪「花鳥遊魚図巻」、葛飾北斎「西瓜図」、「花鳥版画」、与謝蕪村「新緑杜鵑図」、池大雅「前後赤壁図屏風」、伊藤若沖「玄画瑤華」。
そして初代宮川香山の花瓶「梅樹図大瓶」。継ぎ色紙の「よしのかは」は、紀貫之の歌の上の句下の句が違う色味の色紙に書かれ、少しずらして貼られているのであるが、その二枚の色紙の色味のコントラストとずらしの微妙さが絶品である。
そしてだ、なんといっても感動したのは、久隅守景の「納涼図屏風」だった。余白の圧倒的な実在感である。
で、30分ほど並んで立体曼荼羅を見た。近くで見られるのと、解説が貼られているので本当に勉強になった。これを踏まえて東寺で見よう。
で、「美を紡ぐ」の館にもう一度入り、見入った。
外に出ると月が出ている。
上野公園を横切り、アメ横に出て御徒町まで歩き、二木のおかしでエビせんべいみたいのを買って帰る。
いい遠足であった。
疲れが取れてやっと社会復帰できているが、こんな夢をみた。
かつて祖父母が住んでいた田端の家だ。二階の窓辺の外側の手摺りに睦が乗っている。駄目だ戻れと言うと家の中に入るが、すぐ出てしまう。下の道に三毛猫がいて、気になって仕方がないのだ。何度も睦を叱っているうちに、路上では愛が三毛の近くまで行っている。
あれ、愛が出てしまったと慌てて階下に走る。
どうなったかは覚えていない。
場面は不意に試験会場。私は何か受験をしている。試験内容はデスクトップに出るらしいのだが、出ないので慌てていると紙の用紙が配られているのに気がつく。解答を書いていくうちに用紙がなくなってしまう。慌てて騒いでいると、試験官がやってきて「どうしましたか?」と聞いてくる。
試験官は林家三平である。笑点で受けていない現在の三平である。
どうなったかは覚えてない。
鼻水、わざとかと思われるほどの音量の連続くしゃみ、それらが少し治ったかと思ったら、しつこい咳、肩、首、肩甲骨の凝りなどを経て、やっと具合が普通に戻りつつある。
が、人に妙に馴れ馴れしく話しかけられるのが嫌だから表ではムスッとしている事にする。